9333人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
『寒い......』
奈緒は思わず両手を擦り合わせる。
手袋をしていなかった為、
冷たくなった手に、フーッと温かい息を吹きかける。
その時、頬に当たっていた大粒の雪が突然やんだ。
『?』
奈緒は不思議に思い上を見上げると、
そこには黒い大きな傘がある事に気づいた。
びっくりした奈緒は、慌てて後ろを振り返る。
するとそこには、背の高い男性が立っていた。
男性は省吾だった。
省吾は腕を伸ばし、奈緒の上に傘を差し掛けていた。
奈緒は驚いたまま、瞬時に省吾を観察した。
年の頃は30代後半くらいだろうか?
顎のラインまである髪は、緩くウェーブがかかり、
鼻の下と顎には髭を生やしていた。
顔の印象は、彫りの深い濃い顔のイケメンで、
どこかで見たことがあるような顏だった。
俳優か誰かに似ているのだろうか?
その時奈緒はハッとして、慌てて言った。
最初のコメントを投稿しよう!