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『寒い......』 奈緒は思わず両手を擦り合わせる。 手袋をしていなかった為、 冷たくなった手に、フーッと温かい息を吹きかける。 その時、頬に当たっていた大粒の雪が突然やんだ。 『?』 奈緒は不思議に思い上を見上げると、 そこには黒い大きな傘がある事に気づいた。 びっくりした奈緒は、慌てて後ろを振り返る。 するとそこには、背の高い男性が立っていた。 男性は省吾だった。 省吾は腕を伸ばし、奈緒の上に傘を差し掛けていた。 奈緒は驚いたまま、瞬時に省吾を観察した。 年の頃は30代後半くらいだろうか? 顎のラインまである髪は、緩くウェーブがかかり、 鼻の下と顎には髭を生やしていた。 顔の印象は、彫りの深い濃い顔のイケメンで、 どこかで見たことがあるような顏だった。 俳優か誰かに似ているのだろうか? その時奈緒はハッとして、慌てて言った。
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