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「どうってことないでしょう?」 「あ、はい。結構気さくな雰囲気ですね...」 「そこがこの会社のいい所なのよ。役員全員、誰も威張らないから...」 「そうなんですねぇ...」  さおりは秘書室に戻ると、奈緒をパソコンの前に座らせる。 そして、人事部から届いた社員番号とパスワードが書かれた紙を 奈緒に渡した。 「このパスでまず入ってもらっていい?」 奈緒は言われたようにパスワードを打ち込みログインした。 「で、右上にある『パスワードを変更する』を押して、自分の好きなパスワードに変えてみて!」 「分かりました」 「あっ、桁は8ケタ以上の英数の組み合わせね!」 「はい...」 奈緒はなるべく忘れないようなパスワードへ変更する。 「それってね、一ヶ月に一回更新しなくちゃなの。この会社のネットセキュリティーはかなり頑丈だけれど、それでも念には念を入れてね!」 「一ヶ月に一回ですか?」 奈緒は驚いた。前の会社は一年に一回で良かったからだ。 「そう...その辺はIT系だから特に厳重なのよ。あ、でもうっかり忘れてても大丈夫よ。パソコンの方からちゃんと通知が来るから」 それを聞いた奈緒はホッとした。 忙しくしていたら、きっと忘れてしまいそうだ。 「知らせてくれるなら助かります」 「そうそう...私みたいなおばあちゃんが忘れないようにって、上も考えてくれているのよ!」 さおりはそう言ってフフッと笑った。
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