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「奈緒ちゃん、お昼は持って来た?」 「持ってきました」 「恵子りんも持ってきちゃったよね?」 「はい~今日はコンビニ弁当です!」 「私も今日は持ってきちゃったから、そうねぇ、明日は三人で外へランチに行かない? 秘書室での内輪の歓迎会という事で!」 「いいですねぇ~、じゃあいつのものあそこ行っちゃいます?」 「パスタね! 奈緒ちゃんパスタでいい?」 「あ、はい...」 「よーし! じゃあ予約しとくよぉ~!」 さおりはそう言うと、 スマホを取り出し何やらメッセージを打ち込んでいる。 「ランチでも予約って出来るのですか?」 すると恵子が言った。 「普通は出来ないんだけれどね、その店はさおりさんの顔が利くのよ!」 「えぇっ? 凄い!」 奈緒は思わず叫ぶ。 それから三人は、室内の丸テーブルで昼ご飯を食べ始めた。 奈緒が練習で、三人分のコーヒーを入れる。 「奈緒ちゃん、自分専用のマグカップを持っていらっしゃいよ!」 客用のカップに入れたコーヒーを見ながら恵子が言った。 「はい、明日持ってきます!」 奈緒は笑顔でそう返した。 勤務中はあまり個人的な事は話せなかったが、 ランチタイムでは、お喋りに花が咲く。 そこで奈緒は色々な事を知った。 まず、さおりが大学生の息子がいるシングルマザーだという事。 ご主人とは30代の時に離婚をし、それ以降は一人で息子を育てていると 言った。 恵子は、以前勤めていた会社を人間関係で辞めたらしい。 女子社員達からいじめの標的にされ、 心を病みかけた時に思い切って転職をし、この会社に来たと言った。 「ここの人間関係はね...特にこの秘書室は天国よ! だから、絶対に辞めたら損よ!」 恵子はそう奈緒にアドバイスをする。 それに対し、奈緒は笑顔でうんと頷いた。 それは奈緒も同意見だったからだ。
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