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「奈緒ちゃんかわいい! あなたは純粋ねぇ。この会社の女子社員は、ほとんどがこの会社で働きたくて難関を潜り抜けて来た子達ばかりなのよ。
だから浮ついた気持ちの子はほとんどいないわ。でもね、たまーに美沙みたいな勘違い女が混ざっているから...そういう女には要注意よ! 美沙は奈緒ちゃんがいる秘書のポジションをずっと狙っていたの。人事部から秘書室への異動の希望も出していたみたい。でも一向に受理されなくてね! そして先日なぜか人事部から総務部へ急に異動になったのよ...! どうして急に異動になったんだろう?」
「ほんとほんと、あれって絶対裏に役員たちの思惑があるわよねぇ...」
「総務って言ってもね、総務の中の雑用係みたいなところに回されちゃったの。コネ入社のお嬢様を、突然窓際族みたいなところへ異動させたから、もう社員達はびっくりよ!」
「でも、あの決断をしたうちの上層部達は、さすがだわって思ったわ! フフッ...」
恵子は満足そうに頷いて言った。
奈緒は驚いていた。
それは、省吾が思ったよりも人気者であるという事はもちろん、
省吾の妻の座を狙い、
わざわざコネ入社をして来る女性がいる事についてもだ。
『やっぱり今注目の業界のトップってすごいのね...』
と、思わず絶句してしまう。
そこでさおりが言った。
「美沙って確かにコネだけれど、まあまあ美人で色っぽいじゃない? 深山さんはああいう女はタイプじゃないのかなぁ?」
すると恵子が言った。
「私が前に小耳に挟んだ話では、深山さんのタイプは『見た目は清楚で控えめ、でも中身は芯がしっかりしていて強い人』らしいわよ」
「へぇ~、そうなんだぁ...清楚っていうのは意外だったわ」
「そうそう私もそう思った! ここへ乗り込んで来た女もかなり派手なタイプだったし...」
「いずれにしても清楚で強い女なんているのかしら?」
「いないかも~! 男の理想って、現実離れし過ぎなのよ!」
二人はそう言って笑った。
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