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昨日、さおりと恵子から聞かされた話を思い返しながら、
奈緒は背筋をピンと伸ばすと、
『とにかく、些細なミスをしないように気をつけよう!』
奈緒は自分にそう言い聞かせると、家を出た。
この日の奈緒の服装は、揺れるラインの膝丈のベージュのスカートに、
ラベンダー色のサマーセーターを着ていた。
優しい顔立ちの奈緒がこの色の服を着ると、
さらにやわらかな雰囲気になる。
奈緒はブラウスやシャツよりも、
カットソーやニットの方が好きだった。
カチッとした服は、なんとなく肩が凝る。
奈緒は、二日間秘書室で勤務しながら
先輩二人の服装をチェックしたところ、
二人とも秘書にありがちなスーツ等のきちんとした服装は、
特にしていなかった。
念の為、人事部長の杉田にも確認したところ、
「うん、普通の服装で大丈夫だよ」
と言われたので、
今日からは少しラフな格好に変えてみた。
麻のセーターだと、俄然動きやすい。
お気に入りの服に身を包んだ奈緒は、
春の穏やかな日差しが降り注ぐ街中を、颯爽と歩き始めた。
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