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昼休みになると、秘書室の三人はすぐに外へ出た。 三人でさおりが予約してくれたパスタの店へ移動する。 その店は、奈緒達が働くビルから歩いて3分程の場所にあった。 ビルの谷間の公園を抜けて行く。 途中にあるベンチには、サラリーマンたちが 昼食を食べたり昼寝をしたり、皆思い思いに過ごしていた。 パスタの店は、既に行列が出来ていたが、 さおりはその脇をするりと抜けて店の中へ入って行く。 さおりが入ると、店長らしき若者が、 「さおりさんどうぞ奥へ!」 と笑顔で声をかけた。 「亮ちゃんサンキュー!」 さおりはそう言うと、一番奥の個室風の席へ 二人を連れて行った。 「お店の人はお知り合いなんですか?」 「うん...友人の息子さんなの!」 「へぇ~...そうだったんですね~」 奈緒がなるほどという顔をする。 すると今度はさおりが奈緒に聞いた。 「奈緒ちゃん、魚介類は大丈夫?」 「はい、大丈夫です」 「それは良かったわ! ここのお薦めはね、魚貝がいっぱい入ったペスカトーレなのよ!」 「じゃあ、それでお願いします」 「私もそれ~!」 恵子が続く。 結局三人とも同じパスタにした。 ランチセットには、それにパン、サラダ、そしてコーヒーとデザートがつく。 料理が来ると、三人はとりあえず水で乾杯をした。 「奈緒ちゃん、我が秘書室へようこそ!」 「いらっしゃーい!」 グラスをカチンと合わせると、三人は早速熱々のパスタを食べ始めた。 「おいしーい!」 奈緒が感激しながら食べていると、恵子が聞いた。 「で、奈緒ちゃんどうだった? ボスとの初めてのやり取りは?」 「緊張しました。全てが未経験なのでまだ戸惑う事ばかりですが...でも頑張ります!」 「基本的にうちの役員達は、秘書を困らすような事はほとんどないから、だから大丈夫よ!」 さおりはそう言って水を一口飲んだ。 「さおりさんはね、この会社に来る前は大手建築会社の役員秘書だったのよ。その時は色々あったんだって!」 恵子はニヤニヤしながら言った。 「えっ? そうなんですか?」 奈緒がそう聞くと、さおりが言った。
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