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「こうやって食べると、とても美味しい……」
彼が真顔で言った。
「え？」
「手づかみで食べるととても美味しい、ということに最近気付いた」
「はい？最近……ですか？」
「うん、君のまねをしてみた」
今度はベーコンとほうれん草のキッシュを手に取り、豪快にかじりながら彼が言った。
「えー！俺？」
「うん」
彼の前でそんなことしたかな？と思う。
「いつですか？」
「いつ、と言うか、いつもキッチンでやってるじゃない、調理しながらつまみ食い」
げ、そこかよ！と思う。
「あ、あれはつまみ食いじゃなくて味見です！」
味見？と彼が目を細めて俺を見た。
「し、塩加減とかちょっとみたいじゃないですか、それで……」
「そのわりには盛大につまんでるよね」
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