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オレは視界が開けた気がした。ずっと悩んでいたのが馬鹿みたいだ。相手に気持ちを伝える。ただ、それだけでよかったんだ。
そう思うと急激に腹が減ってきた。弁当の蓋を開けて特性オムライスを口に放りこむ。
普通に気持ちを伝えるだけじゃつまらない。健翔の言うオレらしい告白の仕方はなんだ。
考えて、オレは弁当を見て閃いた。
「オムライスに『好きだ』って書いて告白するわ!」
「……どうしてそうなった?」
健翔の手から箸が落ち虚しく地面に叩きつけられた。健翔はオレと弁当を見比べてオレの考えに気づいたらしい。
「うん……まぁ、お前の恋に対する知識が小学生レベルに上がったと喜ぶことにするよ」
「オレ成長してるだろ?」
「うん。してる、してるー」
健翔はどこか遠い目をしながら、箸を諦めて素手でポテチを食べ始めた。
「俺さ、お前のそういう馬鹿なとこ、結構好きだよ」
「ありがとな」
健翔みたいに気持ちを素直に言えたらかっこいいのかもしれない。そう思いながらオレは残りのオムライスを頬張った。
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