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そして、それ以来、真己と日和が言葉を交わすことはほとんどなくなった。
表向きは挨拶をしたり、互いに体裁を装っていたが、段々距離が開いていった。
真己は少しずつ孤立していった。
そして、ふと教室の女子生徒達を見ると、
クラスの女子生徒達の中には、既にいくつかのグループが出来上がりつつあった。
お洒落や恋バナが大好きなリアル充実してます女子グループ
部活やスポーツに励む、体育祭や文化祭などを盛り上げてくれそうな女子グループ
漫画やアニメなどが大好きな推し活に生きがいを見出す女子グループ
などなど――
いつの世も女性はグループを作って集まりたがる生き物だ。
(今更、どこかのグループに入れてもらえる気もしないな……イジメられないだけマシだけど。でも、それを除いたら、中学の時と大して変わらないよ……)
高校デビューは見事に失敗したと、真己は思った。
そして、今後のことに頭を巡らしていると、
「内海さん」
突如話しかけられて、声がした方角を向くと、お金持ち内進生女子グループの何人かが真己の席に近寄ってきた。
日和に”ばーか”と言われて、顔を真っ赤にしていた女子グループの子達だったが、真己は知らない。
「有栖川さん、どうかしたの?」
有栖川と呼ばれた女子生徒は、このグループのリーダー的な存在だった。
制服こそ皆一緒でも、上等なアクセサリーをさり気なく身に着けており、時計や靴は如何にも高級品のようで、日和とまではいかなくても、そこそこの美人だった。
スレンダーな体型でスタイルもよく、化粧を丁寧に施しており、髪は艶があるショートカットで、見た目からして裕福そうな香りが漂っていた。
「ううん、特に用はないんだけど。今日一人でいるからどうかしたのかと思って」
「橘さん、また保健室だよね?」
「うん、そうみたいだね……」
今まで話したことのないクラスメイトから、突然話しかけられて、真己は不思議に思っていると、
「そういえば、橘さんって言ったら、ちょっと変わってるよね」
「え?」
真己は彼女達の会話の意図が分からなかった。
「あ、内海さんは高等部からの外部生だから、知らないか」
「私達、あの人と中等部から一緒なんだけど、橘さんって誰とも関わろうとしないんだよね」
「そうそう。綺麗だから最初は皆寄ってくるんだけど……何か澄ましてて感じ悪いし。中学時代なんか友達一人もいなかったよね」
「高等部の先輩達に親戚がいたみたいだから、その人達とは交流してたみたいだけど」
「だから、橘さんが内海さんと話してるの見て、ビックリしちゃった」
「あんな笑ってるの初めて見たよね」
「橘さんってどんな人なの?」
「ど、どんなって……」
真己は言葉に詰まった。
流石に男性であるとは言えないし、言うつもりもない。
そして、友達と思われていなかったことも、今はただショックで、言いたくはなかった。
「別に……普通の子だよ」
真己は苦し紛れに、何とか言葉を絞り出した。
「普通?!」
「うそー! 絶対なんか秘密がありそう」
(皆、薄々気付いてるじゃない……)
真己はバレるのは時間の問題だと思い、友達とは思われていないけれども、日和が心配になってきた。
そして、自分の知らない日和の話を聞いて、彼はどんな中学時代を過ごしてきたのか気になってきた。
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