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「わたしのせいで、大勢の人が死にました。あの村にとって、わたしは守り神どころか、仇のようなものなのです」  だから、もう一度足を踏み入れるわけにはいかない。そう伝えると、少しの沈黙のあと、ゼンキチはまた寝返りを打った。 「殺したのはサヨじゃない。武士さまに取りついた悪鬼だよ。サヨがいなくたってきっと何人も死んだ。治療が追いつかなくて、もっと犠牲が増えてたかもしれない」  それに、とゼンキチは続ける。 「少なくとも、おいらにとってはサヨは守り神だよ。サヨがいなかったら沢でおっちんでたもん」  えへへと笑うゼンキチに悟られぬよう、一度咳払いをする。 「ありがとう、ゼンキチ」  言葉尻が少しふるえてしまっただろうか。やや間があったあと、ゼンキチは「うん」と答えた。
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