私は声帯を失った

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家族が面会に来た。 私は笑顔を見せ、ボードを使って筆談する。 分かっていたとはいえ、声を出せない体になったのを見て、家族はショックを受けたようだ。 だから、私は終始、笑顔を見せ続けた。 私は不幸じゃない。 私はかわいそうな存在ではない。 私は生きている。 私は元気だ。 私はみんなに見守られて生きている幸せ者だ。 だから、だから…… 私をかわいそうだなんて思わないで欲しい…… 私だって……私だって……本当は……
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