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私には声帯がないので、以前と同じ声は出せない。
出すとすれば、録音していた自分の声を再生するか、あるいは器具で口を振動させて出す機械的な声か、あるいはゲップを利用して食道をふるわせて出す声か。
いずれも長所と短所があるが、話したい時にすぐに話せないことが大きな悩みだった。
すぐに声を出せないもどかしさを主治医に筆談で相談してみた。
すると、声を出すための手術について提案された。
自分の肺の空気を使えれば自分で話している実感が持てるのではないか、ということで、次のような手術を提案してくれた。
気管と食道をつなぐパイプをつける。
私は首の下にあけた穴で息をしているが、その穴を手で塞ぐことで、息はパイプを通って食道へと流れることになる。
声帯はないので以前と同じ声は出せないが、食道をふるわせることで声が出る、ということだった。
家族を呼んで再び話し合った。
私は自分の肺の空気を使って話してみたいと思った。
家族は私の意思を尊重してくれた。
こうして、私は手術を受けることとなった。
不安も大きいが、期待も大きかった。
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