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それなのに途中で止められてしまった。
代わりに恵子の主張を聞かされる。
リストラされて、酒に溺れたこと、病院を勧めたのに断ったことから、健全な家庭を維持する意欲がないと思う。
って、何だよ。
俺はリストラされるような人間じゃない。会社のトップが馬鹿だから、経営失敗を部下に押し付けたんじゃないか。
就職活動がどれだけ大変か、わかるか。
面接相手の若いヤツに見下されている感じ。そして、そっけないメール一本での断り。
飲まずにはいられなかった。仕方ないじゃないか。
それだけで人をアル中扱いしやがって。病院に行く? 行ったら、正常なのになぜ来たんだと思われるだけだろう。
反論の言葉が次々に浮かぶが、これは口に出さない方がいいことはわかっている。
「仕事がなくなり、少し生活が乱れたのは確かですが、今はきちんとしています」
「再就職は?」
「まだです。今はガードマンのバイトをしています」
夜間の交通誘導は時給はいいが、立ちっぱなしで体はきつい。変な時間に寝るのも大変だが、再就職の面接を受けに行きやすい。きちんと考えているのだ。
「飲酒は?」
飲んでませんと言うと嘘くさいだろう。
「夜勤明けで寝つけない時は少し」
「病院には行かれましたか?」
「いいえ、行く必要はありません」
そんな応答を繰り返すうちに一回目の調停は終わった。きちんと俺の気持ちを恵子に伝えてくれているんだろうか。
「よろしくお願いします」
俺はただ、頭を下げるしかなかった。
終わった後、恵子の姿を探したが見つからなかった。終了時刻をわざとずらしているのかもしれない。
会って、話したら、わかってもらえるのに。第二回の時は早く来て、待ち伏せしようか。
そう思いながら、また、コンビニに足が向かった。
今度はストロングチューハイを買う。
また、店の外で飲もうとした時、缶を奪われた。
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