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⑨
「妙な波動は、あの男から出てましたわ。人の心を震わすのは、磬子の音に乗せた、あの男から出る共振波動だったのですわ。あの男自分の事を、超能力者と言ってましたもの」
そう言いながら、スマホで時間を確認する紅華。
「そろそろ電車の時間です。また、面白いことがあったら呼んでくださいね」
手を振りながら赤芝紅華は、改札口に消えていった。
「できれば、赤芝とはもう会いたくないね……。ねえ、美加ちゃん……? どうしたの?」
美加は、プラスチックの破片を持ったまま青い顔をしている。
「あの共振現象が京山自身の能力なら、磬子を壊したぐらいじゃ事件は終わらないよ。また、違う『鳴り物』を使って同じような事件を起こすかも……」
「その時はさあ、また赤芝先輩にご登場願えばいいんじゃない?」
美沙は、紅華の消えていった改札口を見た。
「もしその時、京山と赤芝さんが協力して共振したら……さらに恐ろしいことになるかもしれないよね……」
自分の腕を抱きしめ、震える美加だった。
終
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