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赤芝(あかしば)さんに。あの磬子(けいす)を壊してもらうか、私か美沙(みさ)ちゃんが壊すの」 「そっか、でもそれって器物損壊罪(きぶつそんかいざい)じゃない?」 「罪は私が(かぶ)るから。一刻も早く、人を狂わせるあの磬子を壊さないと、あの男はもっとひどいことをするかもしれない」 「ネットであの音を拡散させるとか!」 「それこそ、どうにもならなくなる」 「そうだよね。ここはやっぱり赤芝紅華の力を借りるしかないか……。でも、彼女引き受けてくれるかな。美加(みか)ちゃん彼女と話せる?」 「うん。多分彼女は喜んで引き受けてくれると思う。彼女にとって京山(きょうやま)との対決はワクワクすることだと思うよ」  その日の夜。天ノ使(あまのつかい)美加(みか)は、隣町の大学に通っている赤芝(あかしば)紅華(べにか)とコンタクトをとった。紅華は、計画を聞いて大いに喜んだ。  翌日、午前10時。天ノ使美加、日向美沙、赤芝紅華は駅で合流した。  赤芝紅華は、真っ赤なダッフルコートを着て現れた。ロングヘアーにニット帽、ボトムスはジーンズ。下がり気味の目じり、穏やかな顔つきで、化粧っ()はない。目を細めてほほ笑む(いや)し系の顔に、誰もが(だま)される。赤芝紅華は良い人だと。 「天ノ使さん、日向さんお久しぶりですわ」  ニコニコと人懐(ひとなつ)っこい笑みを浮かべる紅華。 「あ、赤芝さん。お、お久しぶりです」  明らかに身構えて緊張する美沙。 「今日は、わざわざありがとうございます。作戦は昨日お話しした通りです」 美加は、気負うことなく紅華と同じようにほほ笑む。 「京山(きょうやま)という男、許せませんわね。人の心を(もてあそ)んで喜ぶなんて」  そう言って、紅華は腕を組む。 「とにかく、その男に占いをしてもらって、磬子をブチ壊したらいいのね? まかせてくださいな。私、今からワクワクしていますの。早く行きましょう!」  ソワソワと体を揺する紅華。 「あの、相手は小柄な中年ですが、油断ならない男ですから気をつけて下さいね」  美加は、自らが京山の攻撃を受けているので用心深くなっていた。  3人は、京山邸の門前に立った。前もって一切連絡はしていない。玄関は開いていた。京山は在宅している。 「こんにちは、京山さん。天ノ使美加です。昨日のお()びに参りました」 「おお、昨日の(かた)。それはどうも、わざわざ」  しらじらしく京山が現れた。昨日と同じ姿だ。
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