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⑦
「昨日はお騒がせして申し訳ありませんでした」
頭を下げる美加。美沙もペコリと頭を下げる。紅華は、薄笑いを浮かべている。
「頭をお上げください、そのようなことをなさらずとも、当方も説明が足らず失礼をしました。昨日言ったことは全て戯言です。お忘れください」
「あのー。謝罪はそれくらいにしていただいて、今日は、私を占ってほしいのですが」
紅華が、美加と美沙を分けて、京山の眼前に立った。
「ほう、ご相談ですか。今日は用心深くやりますのでご安心を」
昨日と同じように、板の間に通される3人。美加と美沙は、京山、紅華と離れて座る。美加も美沙も、耳には栓、首にはパワーストーンのペンダントをする。美加は、悪い波動から守るためだと言ったが、信じ切れない理系の美沙だった。
「あんなことがあったのに、あの男、意外としれっとしてるね。余計許せないよ」
美沙が、美加に耳打ちした。
磬子を挟んで、紅華と京山が対峙する。
言葉を発したのは京山だった。
「さて、まず、お名前を。それからご相談内容をお聞かせください」
「はい。赤芝紅華と申します。占っていただきたいのは、結婚についてですの」
美沙が、プハッと吹き出した。美加に耳打ちする。
「け、結婚だって。あれって、マジかな?」
「しー」
美加は唇に指を当ててる。
「では、この磬子の音が、赤芝さんの心の奥底にある願望を引き出します。それをあなた自身が感じ取ってください」
ほほ笑みながら黙ってうなずく紅華。
京山は、棓を振り上げ磬子を叩く。
『ゴ――――ンウオンオンオンオン』
鳴り響く、低く震える音。身体に直接衝撃を与えるような空気の振動。
美加と美沙は、離れているというものの拳を握りしめ歯を食いしばって衝撃に耐える。
「ああ! 頭の中で音が鳴り響きますわ。私は罪深い女ですぅ!」
頭を押さえて叫ぶ紅華。
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