冷えの対処法

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 一時はどうなることかと思ったが、この小屋で吹雪をやり過ごせば目的を達成し無事に家に帰れるだろう。山小屋には食料や水、燃料があるはずだから、ある程度快適に過ごせるはずだ。そのはずだった。 「食料も水も無いみたいだ。おまけに燃料もない。これはかなり厳しい状況だと思うぞ。」小屋を一通り見て回ってきた大西が言った。 「なんで何も無いんだ!寒くて死んじまうぞ!」  確かに、佐藤の言うとおりだ。小屋に避難して雪と風は無くなったが、寒いことに変わりはない。暖をとらなければ低体温症になって皆倒れてしまうかもしれない。人があまり寄り付かない山に来たデメリットがこんなところに潜んでいるとは思わなかった。 「喉渇いた。」 「濡れた靴下は脱いだが、足の冷えが尋常じゃない。段々感覚がなくなってきたよ。」 「パーカーが濡れてキンキンに冷えてやがる。さっきから体の震えが止まらない。」 皆、限界に近づいていた。俺もさっきから手の震えが止まらない。感覚など疾うにない。 「とりあえず、各自一番暖かい態勢で過ごそう。スマホで調べてみたところ、吹雪はあと一、二時間ほどで止むみたいだ。」  そして俺たちは各自部屋の隅で丸まって吹雪をやり過ごすことにした。
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