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「なあ、俺たちこのまま凍え死ぬのかな。」佐藤が珍しく気弱な態度で話す。
「その前に僕は喉が渇いて死にそうだけどね。」
「お前、『喉渇いた』しか言ってなくない?」
「俺は足の感覚がなくなってきた。歩いて帰れるかな?」
「幸いスマホは使えるし、いっそのこと助けを求めるのも・・・。」
気弱な佐藤の一言に緊張が走る。次の瞬間、スマホに手を伸ばそうとする佐藤に長嶋が掴みかかっていた。
「何考えてんだ!状況がわかってないのか!」
「落ち着け、長嶋。だが佐藤もだ。寒さに耐えられず助けを呼びたくなる気持ちはわかるが、俺たちの目的を思い出せ。」大西が止めに入る。
「でも自分が死んだら意味ねえじゃん!俺はもう限界だよ。」佐藤は大西におさえられて一旦助けを呼ぶのをやめたようだが、顔は憔悴しきっていて、本当に限界が近そうだ。
だが、佐藤の言う通り皆限界が近い。あとちょっとで吹雪が去るというのに。俺たちはここで凍え死ぬのか。
「もう少し耐えてみよう。それで本当に無理だったら助けを呼ぶ。ここは近くの町からものすごく離れているわけではないから、救助は間に合うはずだ。大西と長嶋もそれでいいね?」
こうして俺たちはまた部屋の隅で丸まっていた。
その時、小屋の扉がバンッと開き、赤いダウンを着た男が転がり込んできた。
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