冷えの対処法

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「寒い!」  俺は小屋に入るなりリュックを投げ捨て、叫んだ。続いて三人の男がぶつぶつ文句を言いながら小屋に入ってくる。 「急に吹雪になるなんて聞いてないぞ!薄着で来たせいで、もう体の芯まで冷えたじゃないか。」黒いパーカーを着た佐藤が雪を払いながら悪態をつく。 「天気予報を見ればよかっただろ。佐藤以外はちゃんと厚着してきてるんだから。あと山の天気が変わりやすいってのは常識だぜ?次から気を付けるんだな。」と、大西は呆れた顔で言いながら濡れた靴下を脱いでいる。  もう一人、長嶋は大きな荷物を小屋の隅にズドンと音をたてて置くと、「喉が渇いて死にそうだよー。」とか細い声で言って机に突っ伏した。  俺は床に寝転び天井を見つめながら、「もうやだ寒い帰りたい。湯船に浸かるどころか、もう湯船になりたい。」などと考える。  俺たち四人はある目的のため、この山に来ていた。しかし山を登る途中、天気が急変し、前がほとんど見えないほどの猛吹雪に見舞われたのだ。寒さと視界の悪さでもうだめかと思ったときにこの古ぼけた小屋を見つけ、避難した。
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