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「お下劣な脳を清めて差し上げますわ!」
「ギャーーーーー!!!!」
カルスタン城に、王子ダミアンの悲鳴が響き渡った。
アリーナ・サイコマン。御年十五歳。
男爵令嬢でありながら王子ダミアンの婚約者に選ばれた少女である。
拳銃型魔導具の引き金を引き、ダミアン・オンナスキーに清めの弾丸を打ち込んだ。
ダミアンに抱きつかれていたメイドは、泣きながら何度も私にお礼を言って逃げていく。
「待て、逃げないでくれ。五秒、五秒でいいから胸を揉ませてく」
ドキュン!!
ダミアンの額に再び魔法の弾丸がぶちあたる。
手が胸を揉む形のまま、停止した。
この弾丸は殺傷能力がない。けれど被弾すると十秒間麻痺する効果がある。
きっかり十秒経って動き出す。
「アリーナ! なぜ毎度毎度俺の邪魔をするんだ!」
「十七歳にもなって何を世迷いごとを言っているのです、このダメアンは」
「誰がダメアンだ!」
見ての通り、ダミアンは女にだらしがない。
胸の大きな女性が好みなようで、スタイルがいい侍女やメイドがいるとお触りをしようとする。
雇われの身の女性たちが王族に物申せるわけがない。
ついたあだ名がダメアン。
ダミアンの母である王妃が、アリーナなら叩き直せるのではないかと考え、アリーナを婚約者に抜擢した。
男爵令嬢ごときが、とやっかむ令嬢はいなかった。
一言でいえばハズレくじ。
女と見れば口説き、胸やお尻を触ろうとする変態を夫にしたい人はいない。
ダミアンがダメアンだから、王妃となる人がしっかりするしかないのだ。
アリーナは拝命した役目を全うすべく、ダミアンがおいたをするたびに銃に指をかけている。
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