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中学に上がり、あまり皆彼の性別の事に触れなくなるが、それは”表面”だけだった。彼らは人をどんどん見るようになるため、それと同時に陰口を言い始めるのだ。そうやって、まるで人の穴を探して突く虫けらのように、皆彼を貶した。
それに伴い、彼もまた、そうやって人間をゴミのように扱い、自分達を棚に上げる者を”クズ”だとか”外道”だとかと、人間として見放した。
そして、三年の頃。暦は春から夏の中間点である、梅雨時だった。
ときに、彼に”思春期”が訪れた。それはというと、まぁ普通の人間に起きる心身の成長、つまり、彼の身に何らかの”変化”が訪れたわけだ。
その成長具合からおそらく、彼の性別は女性であった。彼の最ものコンプレックスと言えるものが、消え去ったのだ。しかし、彼は養父たちには伝えなかった。なぜなら、信用していないから。怖かったのだ。たとえ、自分の親代わりだとしても。
故に、卒業まで、彼は”ソレ”を身内に隠し続けた。
そして、受験者にとって、桜咲いたか、花びら落ちた頃。とうとう彼は高校に行くということで、卒業式の当日に上京を決めた。しかし、本当はそんな意味で上京したいと決断したわけではない。
自分を少しでも偽らずに、全て曝け出せる仲の人間を、彼は求めていたのだ。
こうして上京した春休みに、二度目の彼の人生の分け目が来るのだが…
それは別の話。
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