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プロローグ;少女の過去
この物語を語る前にまず、ある”人間”のことを軽く話そう。
その人間は、元々ある日『風洞院家』の家の近くに倒れていた。身元のわかるものはなかった。
病院での検査、性別も男性・女性ホルモンがはっきりと分かるわけでなく、X・Y染色体などの検査でも同様で五十歩百歩な結果だったわけだ。よって、曖昧だが検査上男性の要素が高いことから、現状は男子と定めた。
しかし、これも因果といえばそのようなものである。
彼は”前世に愛してはいけない人を愛した”のだから。
いや、”前世ではない”か。その頃の彼も、今の彼と同じ状態、つまり性別はあっても中性的だったのだ。曖昧な状態での恋。その愛は、純か不純かは…彼がまたいつか決めることだろう。
というわけで。
このような、訳有な子供への周りの対応もまた少し”異常”だったのだ。
例として、
『幼少期から着せる衣は、どの性別でも似合うようなもの。
髪の長さは少し長めで、どちらの性別でも適した長さ』
また、この家柄は名門のため、そして事実上は性別が未確定故に、習い事(生花、音楽。そして、経営学にその他諸々)は半分強制で行わせた。身についたことは0に等しいが。
しかし、彼の保護者たる人物の、対応が以上だったとしても”育て親”としての愛情は芽生えたため、まともな子供にはなった。
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