プロローグ 神と魔王の大戦の結末

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 まるで戦争のようなその戦いに終止符が打たれたのは、太陽がちょうど7回登ってから沈んだ時だった。新緑の大地を荒れ地にした神と魔王の戦いは、とうとう終着点を迎えたのだ。  この世界を創造せし神と、その神の創った世界の暗部である魔界、総勢1000万程の大群の王の戦いに大地は悲鳴をあげ、付近にいた生物は皆半径100km以内から一匹としていなくなった。そんな激しい戦いだった。  心の臓に突き刺された刃に俺は理解する。負けたのだな、と。俺のその目に、刃を押し付けているフード付きのコートをまとった女性が映る。ジャバラという名のその女性のフードから除く目は、とても喜々としていた。 「お前が、お前らが本当に正義なのか? 我ら魔族が、本当に悪なのか? 悪だから滅ぼされねばならないのか?」  俺は地面に横たわり、もはや体は動かないが、何とか動く口でそう宣う。 「くふふ、さあね? 正直私はどっちでもいいんだ、自分が正義だろうが悪だろうがさ。私は楽しいことが大好き。だから、私はあなたと戦いたかった。そしてやっぱりあなたとの戦いは、とってもとっても楽しかったよ、夜魔 煉慈朗君」  俺は歯を食いしばる。てめぇの楽しみのために、俺の魔界を滅ぼされてたまるかよ。俺は心臓に刃を突き刺された状態のまま立ち上がる。 「いつか必ず、お前を殺してやる」  その強がり。それを言うことしかできない俺だが、震える足で立ち、ジャバラを威嚇する。 「くふふふふ、ああ、楽しみに待ってるよ」  ジャバラはとても楽しそうに笑う。 「さて、残念ながら楽しい時間は終わりだ」  ジャバラは虹色のサイコロを二つ地面に落とした。世界を創ったと言われるそのサイコロは、2と5の合計7の目を出した。そのサイコロは風に消え、ジャバラの手にはグングニルとでも形容したくなる槍が現れていた。 「さようなら、夜魔君」  ジャバラはその槍を俺に向けて投げた。そしてその槍は俺の脳天を貫いた。そして、それが俺の思考の最後だった。
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