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3、装備
「まず、この世界はご主人様の言うホワイトレストオンラインを模して作られた世界であると考えます。これは、あの少年…」
「あの少年って、私が気絶する前に出会った少年の事かな。天使みたいな服を着た子。いや古代ローマの服?」
「そうですね。ここでは、分かりやすいように天使と名付けましょう」
「はい!」
今度は、はいって答えれたよ!褒めて!嘘です、ごめんなさい。いい大人がこんな事、言ってすみません。
「あの天使が言うには、この世界は崩壊へと向かっており、この世界の危機を救って欲しいと言われました。そうでした、天使というよりは管理者と名乗っておられましたね」
「管理者でもいいよ。あーでもそうだな。その、世界が崩壊へとって話…間違ってはないよ。ホワイトレストオンラインのストーリーはそうだから。簡単に説明すると、この世界の主人公がラスボスである魔王を倒すことで世界は救われるって王道ストーリーなんだけどね。あぁ因みに…私はソロだよ。パーティは組まない派」
そもそも、パーティを組む以前に時間がないのとイン率は低いから自由にやりたい時にできるソロ活動がメインだった。あ、ちなみに結構、私強かったんだよね。リリースされた時点は入社したてで時間もあったし、推しはカンストさせて自分のキャラもカンストさせたし、服は課金必須だったから…勿論課金して自分好みにリスペクトしたよ。まぁ鍛えれば誰でも強くなれるって感じだね。そういえば4周年記念だったのに!!情報聞けないままだったじゃないかー!!ってのは仕方ない…。かなりショックだが!!ショックだけど!!今、推し達に会えているこの奇跡がご褒美だ!!
「パーティーに関しては私達がいますので必要ありませんね」
「あぁ、そうだな」
「はい……!!」
因みに…2人は何レベ?なんだろう。そういえば…ステータスとかないの?
シュン─────!
「!?」
「ご主人様、どうかされましたか?」
「えっと…ちょっと待ってね」
突如目の前に現れたのは、白色の透けたスクリーンがでてきた。この画面は…ゲームのステータス画面!!まんま!!ではなかった。
─────
Lv1 《称号》瀕死の救世主
HP 157/157
MP 56/56
状態:衰弱、幸福、興奮、空腹
《スキル》
精神 Lv5
話術 Lv6
料理 Lv3
観察 Lv8
─────────
れべる…いち…。レベル1だと?!!最弱じゃん!!いやまぁ、レベル1だからさ仕方ないけども…。しかもこの称号は何!!瀕死の救世主って全然、嬉しくない!!こんな称号、見たことないわ!しかも、この状態表示も衰弱、幸福、興奮、空腹ってゲームのステータス画面に出てなかった!!
スキルは……高すぎでは?
Lv4からは鍛えれば上がるという訳でもない。これをあげるには難易度が高い特定のクエストを攻略することで上がることもある…そう、クリアしてもスキルが上がるとは限らない。運次第という言わば…ギャンブルのようなものだった。まぁ、私…運良くスキルMAXまでいったけどさ。周回しまくったもんね…!!
精神…Lv5か。
『精神、相手からの圧迫に耐えます。レベルが高いほど精神的苦痛を感じません』
え?喋った?
『………………………………』
声が聞こえなくなった…。それじゃ…話術Lv6は?
『話術、話の技術です。レベルが高いほど話を自分に有利かつ、時には癒しを時には精神的苦痛を与えることが出来ます』
また喋ったわ。それじゃ、観察。
『観察、相手のステータスや周辺の土地を確認することができます。レベルが高いほど、相手のステータスの奥深くまで確認可能。ただし自身のレベルが相手のレベルを下回る時、相手のステータスはご覧いただけません。又、土地に関しては詳細がこと細かく表示されるようになり範囲も広範囲となります』
なるほど…。とても親切な説明をありがとう。イベントリとかあったりする?
『イベントリを開きます』
ズラっと並ぶ。と言っても、所持金と持ち物8個のみ。
─────
所持金 40000¢
●SR 燕尾服
●SR ローブ
●SR 密偵の暗器
●SR 調和の杖
●R 守護のお守り
●R 魅惑の腕輪
●R 力のイヤリング
●R 生命のネックレス
●R 魔のイヤーカフ
──────
といった具合に並んでいる。
ちょっと待って……燕尾服って燕尾服って!!課金アイテムじゃないの!!しかもなんかランクが低いな……。課金アイテムの燕尾服はSSRだったのに。何か違うのか?燕尾服をタップしてみた。
ポチョン──
待って……タップ音がポチョンはないでしょ?!
なんかもっとあったと思うの!!ほんとに!!なんでこんな面白い効果音にしてるわけよ!!ゼェゼェ!!だめだわ……ちょっと話しただけで息切れって……どれだけ弱いの私……。
『効果音を変更されますか?』
変えたいですね
『1、コケコッコー』
目覚ましじゃん!!うるさいわ!
『2、グオオオオオッ·····!!』
魔物の遠吠え?!え、何よ!怖いわ!
『3、ポチョン』
波紋が広がった時の音……って初期音じゃん!
『4、タンタンタララン〜♪』
だめだ、それあの有名な……子供から大人まで…誰もが知ってるポケ○○センターで預けて全回した時のあの音じゃないの!!パクリダメ!絶対!!
『5、おい』
え?おい?!しかもイケボ!?
『五番に関しましては、録音した音を設定出来ます。ただし、2秒までです』
ん?!と、という事は……もしもだよ。今、目の前にいる2人の声をですね、登録させていただくことが出来たら……。ぐふっ…ぐふふふ…え。そんな美味しいことができるんですか。え、いいんですか。
よし。録音する。
『録音機能を開始しました。止める場合は停止と声に出すか、心の中で仰ってください』
システム有能だわ……。
「あの〜…………」
「ん?なんだご主人。終わったのか?」
「ごめんね、まだ終わってないんだけども……2人にいきなりで申し訳ないんだけど……」
「何でしょう?」
「好き!とこの2文字を言って欲しいの!!」
「はい?好きですか?」
「そう!」
「んーなんかわかんねーけど……好き!」
ぐはっ!!!
『ダメージを受けました』
えっ?!
「ご主人様が仰るのであれば……好き……です」
ぐはぁぁぅ!!
『更に追加ダメージを受けました』
!?!
停止…………
『録音機能を停止しました。どの言葉を設定しますか?』
えっと……私以外の好きの部分をランダムでお願いします。
『設定、致しました』
ランダムOKなの?!ってそれは有難いけど、さっきダメージを受けましたって言われなかった?ステータス確認しないと。前の画面に戻ろうと思って「←」をタップしたら。
『好き』
この好きは、クロード!!
ぐふぅうう!!!
『追加ダメージを受けました』
確認してみれば───
─────
Lv1 《称号》瀕死の救世主
♢new♢声死の取得者
HP 98/157
MP 56/56
状態:衰弱、幸福、興奮、空腹
《スキル》
精神 Lv5
話術 Lv6
料理 Lv3
観察 Lv8
♢new♢声死Lv1
─────
何だこの物騒なnewは……。称号まで追加された…!!全く嬉しくなーい!!って待てよ…声死って……声で死ぬだと?!
『そうです』
いやもうプログラムちゃん、普通に返答するようになったね?!面倒くさくなったのかな?!
『補足説明致します』
スルーしたね?!完全にスルーしたね!!?
『こちらの声死スキルをあげて頂きますと効果音設定の時間を2秒から最大5秒まで拡張が可能です。又、スキルが上がればあがるほど声で人や魔物を殺す事も可能です』
怖いわ!!要らんわ!!そんな機能!!だって私の声を聞いたら死ぬんでしょ?!仲間にも危ないじゃない!
『いえ、ご自身に危害を加えようとする者を対象とするか…その場でスキル発動と唱えて頂き声死スキルを使うことができます』
あ、そういうこと…。普段は使わないって決めてたら大丈夫だし使いたい時はこうやって声に出すか心の中で唱えるかすると適応されるわけね。それなら安全。って私もう人間じゃなくない?あ、でも待って?声死スキルのレベルの上げ方は?
『推しよりダメージを受けると経験値が蓄積されます』
え。という事は…私がキュンキュンするような台詞を聞いたらレベルが上がるけれども、一歩間違えたら死んでしまうのでは?聞く度にダメージ受けるし。諸刃の剣では?
『説明は以上になります』
またスルーしたわプログラムちゃん……。良いよ!!別に!ってなんか話が逸れたわ。
「まずは……装備…」
「装備??」
「装備を見ておられたのですか?」
「あーえっと…うん、そうなの。私のイベントリの中に入ってたみたいでね。ちょっと確認するわ」
再度確認────。
────
●SR 燕尾服
●SR ローブ
●SR 密偵の暗器
●SR 調和の杖
●R 守護のお守り
●R 魅惑の腕輪
●R 力のイヤリング
●R 生命のネックレス
●R 魔のイヤーカフ
────
そうだな…燕尾服と密偵の暗器、魅惑の腕輪はクロードに装備だな。それと、ローブと調和の杖、守護のお守り、魔のイヤーカフはカルセルに装備だな。
『認識しました。2人に今の装備を装着します』
「うわっ!?」
「!?」
驚いた声と息を呑む声が聞こえた。パッと声がする二人を見てみれば………。きゃああああああああぁあああ!!!!!クロードは、闇夜にも溶け込めそうな程暗い藍色の燕尾服を着こなしており……驚きはしつつも暗器があちこち服の中にあるようで喜々ランランとした瞳で確認している。
カルセルは、杖をマジマジと見ており…なにかブツブツと呟いている。服装に関しては、フード付きローブで、黒と白に真ん中で色がわかれている。黒側の生地にはうっすら花とツタのようなものが描かれていた。シンプルでカッコイイローブだ。それを難なく着こなしている私の推し達は凄いと思う。流石っ!!
「ご主人!」
「は、はいっ!」
「この杖、凄いぞ!魔力の安定が凄まじい!早く使いたい!!」
ふふ…新しい、まぁそこそこいい武器に興奮してる!元気で可愛い!新たな一面を知ってしまった!!うむうむ!吾輩は満足である!
「そうだよねぇ…使いたいよね。分かるよ、その気持ち。と、クエストに行く前に私も装備しなきゃだし…」
「あ、それなら任せろ」
「こちらに全て用意しております。以前の傾向から、ご主人様は太刀を使われると思いましたので。馴染み深い初期刀を購入しております」
「ま、まさか!!初期刀と言うなら……鉄鉱刀!!?」
「はい……初期ですね…」
「うわぁあああ!!!これが本物〜?!すごい!!凄いよ!!興奮する気持ちが分かる!!これより強い刀を手に入れるには材料がいるしねぇ…。そこは仕方ないけど……。これから集めていけばいいし……!早速、装備してみるね」
『自動的にイベントリに収納します。装備しますか?』
装備させて。
『装備します』
私の体が光る。そうして、次に目を瞬いて開けた時には服装が変わっていた。あー!!旅人って感じする〜!!私自身は女なので甲冑とかではなく、軽装の女物だ。そして次に問題が起こった。
グキッ───────
「「「...!?!?!」」」
「い、いだァァァ─────────!!!!!」
『重大ダメージを受けました。常に、10秒ごとに1ダメージ受けます』
死ぬではないかー!!!
何が起こったかって?10文字で説明してやんよ!
武器持って手首折れた
「...回復!!」
「た、助かった…」
一瞬で壮絶な痛みが消えた…。魔法便利。
「……ここまで、衰弱していたとは…私とした事が大変申し訳ございません。まずは、ご主人様の体調を万全にしてからギルドに登録するなり、致しましょう。いいですね?」
「あぁ、ご主人の体調が1番だ」
「初っ端から迷惑かけてごめんね…」
まさかの展開に、意気消沈した私だった。
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