4、ギルドへ登録!

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4、ギルドへ登録!

意気消沈した静かな空気の中で事件は起こった。   ぎゅるるるる⋯⋯⋯ その音は、私のお腹から豪快に響いた。 「⋯あの2人とも⋯今の聞こえた?」 「「⋯⋯⋯」」 「いいや?」 「いいえ。とりあえず、昼食のご準備を致しますね」 「聞こえてるやん!!」 あぁあああああぁああああ⋯恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!推し達にお腹の虫の音を聞かれる日が来るなんて!!ありえない有り得ない⋯!!恥ずかしくて死にそう。 「ダメダメ〜勝手に死んじゃ!」 「いやいや、これは言葉のあやで⋯⋯」 「テメェ!!」 そうカイセルが叫んで、私を守るように背をこちらに向けた。クロードも、俊敏に動き私を守るように前に立ってくれた。そう現れたのは彼だ。 「やっとお目覚めのところ悪いんだけど、この世界のことについて説明しに来たんだよ〜」 「邪魔です。ご主人様は昼食をお求めですので、お引き取りください。改めて、出直して下さいませ」 「じゃ、飛ばすぞ」 「ま、待って待って!!わかったから!飛ばさないでよ!!野蛮だなぁ!」 「飛ばすか?」 「悪かったよ、冗談冗談!起きたみたいだから来ちゃった☆」 「来ちゃったじゃねーよ!!」 「あぁ!天使さんじゃん!」  うわぁー⋯⋯すっごくショタだ!好みじゃないけど。 「うわぁ⋯今すごく失礼なこと言われた気がする〜僕、そこそこ可愛いと思うんだけどな〜。まぁいいんだけどね!」 いいんかーい!! 「とまぁ〜あらかた話は終わってるとは思うけど。確認しにきたんだよ〜」 「えっと⋯なんの確認ですか?」 「ご主人様、低俗とは関わらなくても宜しいかと」 「いやいや、クロード⋯ここはね、ちゃんと聞いておいた方がいいところだよ」  ぎゅるるるるるるるッ⋯⋯!  あ、また鳴った⋯。 「確かに…お腹すいてたんだった!豪快な音だね!」  空気読めー!!私のお腹!!っていうか、言うなアホ天使!!全世界の乙女を敵に回したぞコラ!知らん振りするのが優しさだァー!!!この天使に優しさの"や"の欠片もないらしい。 「仕方ないなぁ〜料理は用意してあげるよ。食べながら聞いてね〜?」  パチンと指で音を鳴らした天使。 「うわっ?!机に⋯!!」  そう机に大量の料理が出てきた。体に優しい温かいスープやら麺やらお粥やら。そう日本食がズラリと部屋に備え付けてある机の上に登場した。 「⋯お、美味しそう⋯⋯これ毒入ってない?」 「失礼な!!これから助けてっていう人に毒なんか盛るわけないでしょ〜!それに毒を盛るくらいなら出会った時に殺してるよ」  うわぁお⋯サラッと毒吐いたわ、この子。 おっそろしい奴め⋯⋯。 「じゃ、頂きましょうか」 「え!無視?!」 「そうですね、せっかくですし。頂きましょう」 「俺も腹減ってたんだよなー。めちゃくちゃ美味しそうじゃん!」 「これはね、日本食だよ!私の世界で存在する料理!これはお粥、コンソメスープでしょ、梅と出汁のうどんでしょ?白米もそうだし、お味噌汁まであるね!じゃ、食べよう⋯!」 炭水化物ばかりだと言うのは無視して私はベッドから抜け出して座席についた。ちょうど三人分ある椅子に、それぞれ座って。  パチン! 「頂きます!」 「「いただ⋯きます!」」 「ちょっとちょっとー!僕のこと無視しないでよ〜!僕が用意したんだから感謝ぐらいしてよねー?!」  それもさらに無視して食べた。 「ん〜!美味しい!久しぶりの⋯この温かい食べ物⋯涙でそう⋯⋯。胃に優しい⋯美味しい⋯」  社畜と化してからはカップラーメンやら、コンビニ弁当と様々だけど、お世話になった。でも最近はカロリーメイチョとかエネルギーゼリーとかしか食べてなかった。ちゃんとした固形物久しぶり⋯⋯。美味しい⋯⋯。 「初めて食べたけど美味いな?!」 「これは⋯美味しいですね」  2人も感動しているらしい。 「うんうん、日本食は美味しいからね!私の分も沢山食べてね!」 「いやいや!!僕が用意したんだからね!?聞いてる?!」  聞いてるけど聞こえないフリですね。  そうして、私は少量しか食べれなかったものの久しぶりに満足のいく満腹状態になった。ステータス確認。 『ステータスを開きます』 ───── Lv1 《称号》瀕死の救世主 声死の取得者 HP 157/157 MP 56/56 状態:衰弱、幸福、興奮、満腹 《スキル》 精神 Lv5 話術 Lv6 料理 Lv3 観察 Lv8 声死 Lv1 ───── さっきは空腹だったけど満腹に変わってるわ。さっきカルセルに治療してもらったからHPは満タンだしね。 「満腹になっただろうし、そろそろ話してもいい?」 「どーぞ」 「君は知ってるだろうけど、魔王を倒してこの世界を救ってね。ただし油断したらダメだよ、普通に死ぬ(・・)からね」 「ゲームのようでゲームじゃないって事だよね」 「うんうん!物分りが良くて助かるよ〜。怜以外の2人はちゃんと理解したかなー?」 「馬鹿にすんな」 「右に同じく」 「とりあえず、いのちだいじに!!を心掛けよう」 私の宣言に2人はコクッと頷いてくれた。 よし問題なし! 「さてと、話は聞いたからもう帰っていいよ、天使さん」 「ちょっ!僕に対する、態度が氷のように冷たい!!だけど!まだ伝えてないことがあるんだよ。僕は直接的に干渉ができないから、怜には贈り物を用意してるよ。必ず今後、必要になってくるからね。その名もガチャ機能だよ!」 「まんまじゃない」 「酷いなぁ〜とにかく、ガチャ機能を使って生き残ってね。毎日のデイリーや、クエストで獲得出来たりするよ。ただし、簡単に仲間が増えるとは思わないでね〜♪」 「ハイハイ、知ってますよ。どれだけ課金させられたことか⋯⋯。沼にハマって…偉いことになったんだから!!でも欲しいから貢いでしまうのだ!!」 「あーごめんねぇ☆この世界に課金要素は一切ないから自力でファイトッ!」 「はぁ?!課金要素ないの?!何でですか!!貢ぐのが私の生き甲斐その為に仕事を──ってなかったわ」 「今更〜?とにかく、頑張って死なずにクリアしてよね〜!期限は短いよ?」 「え?」 「期限は決まってるんだよ、この世界でいう3ヶ月で消える運命だから」 はいいいい?!!めちゃくちゃ重要要素!今ですか?!え?!現実世界と同じ日数だったはずだから、31×6としても、93日しかないじゃない!!?しかも残り、92でしょ?やばいじゃん。 タイムリミット怖っ!! 「さぁ、こんなギリギリの世界に連れてこられた意味⋯⋯君なら分かるよね。これから僕はサーポート出来ないから自力で頑張ってね!じゃ!」 「えっ!?それだけ?!いや待って!?なんかせめて特典を!!」  彼は私の声を全て聞き届けずに目の前から消えた。 「はぁ──────なんつー管理人だ⋯」 「主⋯⋯」 「主様⋯⋯⋯」 「あー⋯コホン。2人ともごめんね。このままじゃ良くない。最短でレベルを上げて、魔王を倒すのに必要な武器を作って世界救っちゃおう!」 その問いに2人は力強く頷いてくれた。さてと、まずは2人のステータスを確認しても良いかしら? 『2人のステータスを確認します』   ───── Lv?? 《称号》??? HP 5678/5678 MP 8456/8456 状態:幸福、満腹 《スキル》 ──── ──── ──── ──── ──── ───── このステータスはカルセルだ。しかも、HPとMPだけ開示設定にしてる……。そしてかなりレベル高いわ!MAXレベルとスキルを全上げして、MPはMAXで2万くらい。あ、因みにMPが最大2万もあるキャラはカルセルだけ。破滅がつくくらいだからね。だからだいたい……40レベルはあると思う。次は…クロードね。   ───── Lv?? 《称号》??? HP 8679/8679 MP 5648/5648 状態:幸福、満腹 《スキル》 ──── ──── ──── ──── ──── ───── そうそう……このふたりはあくまで…対…。月と太陽みたいな。だから、カルセルとは反対にクロードの場合MPは少ないけれどHPはレベルMAXで2万くらいになる。この2人のエピソードは半端なく泣ける。 とりあえず…街は、どこの街かよね。普通なら、始まりの街だったりするけど──。 「ねぇ、ここの街ってなんて名前なの?」 「ん?ここは、ウィグランだ」 カルセルが答えてくれた。 「なるほどね。って、中盤で訪れる場所じゃない?!」 「主様、大丈夫ですよ。私達がいますから」 あ、今…キュンってした。はぁ…好き……。 「ありがとう…本当に、今の私は…最弱だから足でまといになるわ」 「全然そんなことないぞ?」 「そうです、それにパーティーを組めばすぐに追いつけます」 「そ、それもそうだね。2人には、お世話になります。それじゃあ、ギルドに登録して早速クエストに行こう!薬草取りまくるよ!!」 「おう!」 「任せてください」 そうしてギルドへと向かうのであった。 カラン…… 扉を開けると鈴のいい音が鳴った。 す、すごい……まんまだ!ゲームまんまだ!! ソワソワとキョロキョロと中を見てしまう。 巡礼地……巡りだァ──────(楽しそうだな)!!! 「主様、私達の傍を離れないでください」 「変な奴、うじゃうじゃいるからな」 「ありがとう2人とも」 あーやっばいです!イケメン2人の護衛がついてるとか…至れり尽くせりでは?!あーもう!!語彙力が足りない!!言い表せれない!ただ、守って貰うばかりなのは性にあわない。早くクエスト受けて強くなりたいけど…まずは自分の身体をどうにかするしかない。って、なんかジロジロ見られてるなぁ……。ま、2人がカッコイイもんね!わかるわー!分かるよ!!見てしまう気持ちが!! そんな時、後ろから声をかけられた。 「お兄さん()!」 そう言って声をかけてきたのは、3人グループの女性達だった。 「良かったら、この後一緒にパーティー組まない?」 ………見るからに下心がありそうな視線を向けてくる。新人と見間違えたのかな。いや間違ってはいないけれども、一応ベテランの経験があるんですが?(ゲームの中だけね) 「ねぇ、お兄さんいいでしょ?」 そう言って、私に抱きついてきた女性。はい?お兄さん?!え!?嘘?!ま、待って─!?だ、だって私、女だよね?!ほら!胸だって……目の前にいる人よりかは全くといって無いけど(言ってて悲しくない?)──でも、あるからね?!!なんで?!!いやもういいわ、男モードでいくわ。 「すみません、俺達。お姉さん達とは御一緒出来ません」 「なんでぇ?」 こう胸をムニっと押し付けてくるのやめなさいよ!悲しくなってくるから!!というのは置いといて、彼女の耳元まで近づいて──彼女より背が高くて良かったと、この時は思った。 「君達みたいな綺麗な人を俺達だけで独り占めしてしまったら、あちらこちらにいる男達に反感をかいそうだからね。まぁ⋯片付ければいいんだけど、美女たちのお目汚しは⋯したくないからね。またの機会に、お願いしてもいいかな?」 「そ、そういう事なら仕方ないわね⋯。いいわ!今度は付き合ってよ?」 「機会があればいくらでも。美女たちと過ごせるなんて、この上ない光栄だよ」 「⋯⋯!!わ、私の名前はグレイよ、隣がジャスミンにミール。それじゃあ、またね。私達ももう行くわ、貴方の迷惑になりたくないもの」 そう言い残して、彼女たちは去っていった。 ふぅ⋯⋯良かった。悪いけれど、共闘してる時間は全くと言ってない。激ムズ最短ルートで行かない限り、この世界を救えない。 「さっすが!主!」 「私が出る幕もありませんでした」 「そういえば⋯⋯主、なんで()に間違われてるんだ?」 「俺も知らないよ⋯⋯それより、俺の今の見た目は?」 「女って分かるぞ?」 「同じくです」 「じゃあなんで⋯⋯?んー⋯か、考えても仕方ない。早く登録しに行こうか」 そうして、その後は問題なくレイという名前で登録してクエストを受注した。
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