9人が本棚に入れています
本棚に追加
川瀬side
「川瀬。もう白状しちゃえば?」
「何をだよ」
佐橋が言っている意味はわかっていた。
何故、意図的に岸野を遠ざけているのかを。
でもそれは話が重すぎて言えないと思った。
「言っておくけど、俺は岸野の敵じゃない。
どちらかと言えば味方なんだけど」
「嘘だよね、散々邪魔しておいてさ」
「それには理由があってさ」
そこまで言って、ちらっと佐橋が俺を見た。
「川瀬、俺が岸野と2人で会うって聞いて、
気が気じゃなかったんだろ?もういい加減
話しちゃおうぜ」
「話せることと話せないことが」
そう答えると、岸野が身を乗り出した。
「話せないことって何?信用できないから?」
「違う、話が重すぎるからだよ」
「川瀬、何だよ。岸野との間に割って入る
のを頼んだ理由が重いのか」
佐橋があっさり口を滑らせた。
「何それ、佐橋の邪魔って川瀬が仕向けた
ことなの?ひどくないか、それは」
佐橋の言葉に
岸野はショックを隠しきれない様子だ。
こうなったら、腹を括って話すしかない。
俺は大きく息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!