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「確かに、岸野のアプローチを避けてた。
でもそれは嫌いだからじゃない。好きだから
こそ失いたくなくて、」
「えっ、川瀬。僕のこと好きなの?!」
「ふ、やっと言った」
赤面する岸野と苦笑いする佐橋を見比べ、
言葉を続けた。
「俺‥‥中1で恋人を自殺で亡くしてるんだ。
それ以来、他人と深く付き合うのが怖くて。
誰とも付き合って来なかった‥‥だから、
岸野を幸せにできるか自信がなかった」
「「川瀬」」
岸野と佐橋は表情をなくしてしまった。
「でもさ、もう10年経つし。岸野のこと、
諦められないし。不器用でごめんだけど、
岸野、俺と付き合ってくれるか」
最後の言葉は口の中がカラカラで、
やや早口になった。
岸野が息を吐き、頷いた。
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