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「みんなで飲んだ方が楽しいかなって」
「そんな」
泣きそうな声を出した僕の肩を
佐橋は引き寄せ、さてどこに行く?と
笑顔を見せた。
「ワイン飲みたいかも」
「いいねえ。これを機に定期的な飲み会、
同期でやらない?」
「そうしようか」
川瀬が先を歩き始め、
佐橋が続こうとしたところを
慌てて佐橋の腕を取り、引き留めた。
「佐橋、どうしていつも僕の邪魔を」
「邪魔って何だよ。同期なんだから、
仲良くするのは当たり前だろ」
「うう」
佐橋が川瀬の隣に立ち、
楽しそうに話しているのを目の当たりにし、
僕は息を吐いた。
絶対に諦めたくない、
でも勝算はなさそうなこの恋が
佐橋の存在で如何様にも振れる状況だとは
微塵も思わずに。
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