川瀬side

1/2
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

川瀬side

「いいのかよ。岸野、かわいそうじゃん」 佐橋にいつもそう言われるが、 俺だってこんなことはしたくない。 でも岸野には知られたくない。 俺が何故岸野の気持ちを知ってて 蔑ろにするような態度を取っているかを。 初めて他人を好きになったのは、 中1の夏。 相手は教科書の貸し借りで知り合った、 隣のクラスの男子。 ちょっとだけ岸野に雰囲気が似ていた。 幸か不幸か彼とは気持ちが通じ合い、 お互いの自宅を行き来するようになった。 それまではリビングで家族とお茶を飲んだり ゲームをしたりしていたが、 初めて彼の部屋で2人きりになった時、 俺は彼とベッドに腰掛け、キスをした。 彼の柔らかく形作られたカラダを キツく抱きしめ、唇を貪るように愛したら 彼が俺の首筋にキスマをつけ、微笑んだ。 そこからはもうお互いに歯止めをかける ことができず、場所問わず人目を避けて キスを繰り返した。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!