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川瀬side
「いいのかよ。岸野、かわいそうじゃん」
佐橋にいつもそう言われるが、
俺だってこんなことはしたくない。
でも岸野には知られたくない。
俺が何故岸野の気持ちを知ってて
蔑ろにするような態度を取っているかを。
初めて他人を好きになったのは、
中1の夏。
相手は教科書の貸し借りで知り合った、
隣のクラスの男子。
ちょっとだけ岸野に雰囲気が似ていた。
幸か不幸か彼とは気持ちが通じ合い、
お互いの自宅を行き来するようになった。
それまではリビングで家族とお茶を飲んだり
ゲームをしたりしていたが、
初めて彼の部屋で2人きりになった時、
俺は彼とベッドに腰掛け、キスをした。
彼の柔らかく形作られたカラダを
キツく抱きしめ、唇を貪るように愛したら
彼が俺の首筋にキスマをつけ、微笑んだ。
そこからはもうお互いに歯止めをかける
ことができず、場所問わず人目を避けて
キスを繰り返した。
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