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「美味しかったです。ご馳走様でした」
「ありがとうございます!またご贔屓に〜」
久しぶりに来た常連の彼女が出ていくのを見送り、俺はテーブルの上にある皿に目をやった。
唐揚げにたこわにホタテに角煮…。どれも綺麗に食べてくれた所を見ると、満足してくれたようだ。
「いや〜。彼女、い〜い食べっぷりだったねぇ〜」
「本当に。あんまりにも美味しそうに食べてるから、思わず同じの注文しちゃったわ」
「大将。あの娘、知り合いなの?」
彼女を知らない店の常連が立て続けに質問してくる。
さて、どうしたものか。知ってはいるけど、何処まで答えればいいのか分からない。
そこで俺は、この前見たテレビのことを思い出した。
「美味しそうに食べてたって?そりゃそうでしょ。だってあの娘、プロの俳優だからね」
カウンターの隅に置かれている色紙には、先程までいた常連の名前が書かれていた…。
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