1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハァハァ、突破だ、ヱノミック、神里、やった…ぜ…。」
と言い終えられないぐらいのところで、頑張りすぎたのか、カムキルラは倒れてしまった。
「よく頑張ったな、カムキルラ。ヱノミック、ここからはオトナが頑張らないとだ」
「そうだねヱ、次は、僕が頑張ろうかな?」
と言い、彼は、禍々しいフラスコとメスを取り出した。
「医者の本領発揮だ、随分お待たせしてしまったかな?」
「全くだ」
そう言ってあたしは、2つ目のドアを開けた。
そこには、さっきよりは数は少ないものの、殺気がひしひしと伝わってくる。
「ホント、こう言うのは苦手なんだけどねヱ。いこうか、子供たち」
その合図で、獣は、一斉にヱノミックの方に走ってくる。ヱノミックは其れを華麗に回避しながら左手に持っているフラスコを1つずつ満遍なく割っていく、瞬間、真横に殺気が寄ってくる。
「殺気を隠せない様じゃ、まだまだだねヱ。」
そう、余裕そうな表情で、獣の前に右手のメスを投げつけた。
刹那、後ろから衝撃がする。衝撃より、激痛の方が近いが、つまりそれは、腕に、獣が噛み付いていると言う事実だった。
「ぐぁっ、
クッ、痛い、なぁ、」
一転、場面は形勢逆転、ピンチだ。
「なんて、ねヱ」
『ジャック』
「言った、だろう、空気さえ有れば僕は感染させることが出来る。それが、たとえ、病気だったとしても、だ。」
「生憎、これぐらいでかかったら、血液を空気に触れさせないと、操りにくいから、囮作戦しか出来ないのが、ネックなんだけどねヱ」
「あとは、任せたよ。
―ジ・ヱンド―」
五月蝿かった部屋は、忽ち、静かになった。
最初のコメントを投稿しよう!