金色のスポークに励まされて

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 天気は一向に良くならず今日も、みぞれ模様だ。 母さんたちは雪の影響で帰りが更に伸びると言って来た。 ならば今夜もウバイーツで鍋焼きうどんでも取るか。 ピンポンが鳴ってドアを開けるとまた、数日前のあの配達員の男性だった。 僕に袋を手渡したときにヘルメットの下の顔が一瞬見えた。僕と変わらない年に見えたんだ。 「あれ?もしかして菊田君じゃ、ない?」 僕の声がひっくりかえったようになった。 「あっ!やっぱり文也君だったんだね」 「…知ってたの?」 「ん。この前来た時、もしかして?と思ったけどかなり会っていなかったし、不確かだったから」 そうだったのか。 「菊田君、バイト?」 「うん。ウバイーツのバイトは、雪や雨の日だとバイト料が2、3割増しになるんだ。だから空いていたらやることにしてるんだよ。普段はガソリンスタンドの夜勤を週3やってるんだ」 僕はびっくりした。 菊田君は自分のバイト料と奨学金だけで大学に通っていると言っていた。 地元の大学なら程度はさほど高くなくても自宅から通えるから下宿代が浮くからだそうだ。 一年間、仕事をして入学金を貯めてから入ったから大学はあと1年ある。 入学金だって100万は下らないだろう。 どっぷり親のお金で大学に行っている僕には、自力でなんて途方もない金額に思えて僕の中の何かが揺さぶられてふるえるのがわかった。 「あそこのガソリンスタンドに金色のスポークのバイクが止まっていたら、僕が夜勤だからさ、良かったら寄ってよ」 そう言って菊田君は笑っていたけど明らかに疲れた顔をしていたように見えた。
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