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ある晩、菊田君のいるガソリンスタンドに行ってみた。
金色のスポークのバイクが停めてあったのを確認して事務所に入ろうとした。
夜勤は、事務所にいて、怪しい人間がいないかモニターで監視するのが主な仕事なんだろうと決めてかかっていた僕は少し驚いた。
菊田君は事務所になんていなかったんだ。
ガソリンを入れに来た中年の女性に空気圧の確かめ方、空気の入れ方なんかをレクチャーしていた。
「あっ、菊田君」
僕は思わず叫んでしまった。
「あ〜文也君来てくれたの」
菊田君はちょっと恥ずかしそうな顔をした。
「何してたの?」
「僕たちも空気圧は見てあげるんだけど、自分でできた方が良いだろうと思って教えてあげてたんだ」
おばさん困惑してなかったかな?と心配だったけどそれはま〜いいとして、菊田君の、そのたゆまない向上心に脱帽だと思った。
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