思い出のネタ

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 仕事が終って外に出ると、天気予報通り雪が降っていて、辺り一面うっすらと雪景色が広がっていた。  一面に広がる白い景色を見ると、幼い頃、私と弟と母の三人で毎日繰り広げていた時の事を思い出す。 🐾🐾🐾🐾🐾  母が洗濯したシーツは、柔らかくて、肌触りがよく、でもあまりしわならず。そして、鼻を近づけて嗅ぐと、ほんのりミカンの様な香りがして母の洗濯したシーツが大好きな私と弟。  毎日母が家族皆の布団を敷く時、私と弟の彬で枕を置くお手伝いをしていた。  母が、四枚の敷布団を横並びに敷いて、シーツを敷いた後、目の前に広がる一面の白い世界。私と彬は枕を持って、顔を見合せて、ニヤッと笑い合い、二回頷き合う。そして、『せーのーで!』と掛け声を合図に二人で突入!ゴロゴロゴロゴロ転げ回ると母が注意する。 「もーっ…今日もまた!あかーん!シーツがぐしゃぐしゃになるーっ!」 『もうおそーいわー!もうぐしゃぐしゃになってるわー!あーっ、でも今日は、ましやでー!』 ギャハハーっと二人笑いながら返す。すると、母が苦笑いしながら言う。 「もう飽きんと毎日毎日、一種のネタやなぁ…。あっ、ほんま、今日はぐしゃぐしゃましやわぁ。あんたら、気済んだらお母さんと一緒に直すねんで」 枕を抱え込んで、でもごろごろしながら返事をする。 『ハーーーイ!』 🐾🐾🐾🐾🐾  頭にコートのフードを被って、少し空を見上げ、静かに降り続く雪を眺める。そして、思う。  今年の夏は久し振りに弟と相談して一緒に帰省しようかなぁ…そして、シーツを敷いた上を二人でゴロゴロゴロゴロ転げ回ったら、お母さんなんて言うかなぁ…と。
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