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 以前はお姉ちゃんがお風呂に入ってる間だけだった電話の時間。今はたいてい寝るまでずっとビデオ通話にしてる。お互いに机の前に置いといて、喋ったり喋らなかったり。耀くんはいつも勉強をしていて、僕も勉強したり本を読んだりしながらその様子を見ている。  あ  耀くんの、ペンを持った右手が映った。  その薬指でキラッと指輪が光った。  えへへ  金色と銀色のバイカラーのペアリング。耀くんからのクリスマスプレゼント。  僕の右手の薬指にも今、おんなじのが嵌まってる。  外にはなかなかして行けないから、部屋にいる時はいつも着けてる。 『どしたの? 碧』  スマホの画面の中で耀くんが笑ってる。 「あ、うん。指輪、綺麗だなーって思って」 『そっか』  にこっと笑った耀くんが、すっごく格好いい。  全部スクショ撮っときたい。 『碧が喜んでくれて嬉しいよ』  スマホの画面の明るさ設定が勝手に変わったのかと思うぐらい、耀くんがキラキラ輝いて見える。    ずっと見てたい  僕の耀くん 『碧、もう11時だからそろそろ寝な』 「…やだ」 『明日起きらんなかったら、朝会う時間短くなるぞ?』 「それもやだ」 『はは、わがまま可愛いね、碧。抱きしめたくなる』 「耀くん…」   抱きしめてほしいよ 『また、碧を抱いて眠りたいなぁ』 「…うん…」  画面越しの耀くんの瞳が熱い。 『でも今日はもう、な?』 「うん…」 『おやすみ碧…。また明日』 「おやすみなさい、耀くん…」  夜のビデオ通話の時だけは、耀くんが通話を切る。僕が名残惜しくて切れないから。一番最初にビデオ通話をした時どうしても切れなくて、そういうことに決めた。  声だけの通話でも切るの辛いのに、顔を見ながら切るなんて無理。絶対無理。  大好きなんだもん  さっきまで耀くんが映っていたスマホを机に伏せた。  早く寝よう。寝たらすぐに朝がきて、また耀くんに会える。  朝はめちゃくちゃ寒いけど、耀くんが門まで迎えに来てくれるから大丈夫。  トイレに行こうと思って廊下に出たら、まだお姉ちゃんの部屋からも明かりが漏れていた。
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