この神社は僕らと似ていた。

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 そう言って弟はフライングのごとく駆けていく。「えっ?ちょっ待てよ」と叫ぶが時既に遅し。弟の背中はみるみるうちに小さくなっていく。その後ろを為す術もなく追走した。  案外重たい体は鉛のようで、少し走っただけでも息切れする。学生の時は陸上部に所属していたのに____。  それでも、茜色の空の下、イチョウ並木を駆け抜けた。  辛うじてゴールすると、スポーツドリンクを渡された。カラカラに乾いた喉へ水分が染み渡り、生き返ったような錯覚に陥る。 「くーっ!うめぇな、これ」「頑張った分、最高だろ?」「ああ」  この感覚は一年経ってもきっと忘れられないだろう。 清々しい気分を覚えていると、弟は口を開いた。 「噂によるとこの先には幻の神社があるらしいぜ」 「昔、ばあちゃんが言っていた、あの?」  まさか、この枯れ野の中に神社などあるまい。
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