小雪

6/8
前へ
/8ページ
次へ
「ええ、それだけは覚えてるわ。私四歳だったと思う」  小雪は恥ずかしそうに言った。 「小雪さんがそんなおてんばに育ってしまったら、お父さんに怒られると思ってね。わたし小言を言ったわね」 「ええ」  小雪はまた恥ずかしそうに返事をした。 「でもわたし、後悔しているの。小言なんか言わずに、一緒に遊んであげれば良かったと思っているのよ」  妙はしみじみと言った。  小雪は黙って、眩しそうに母親を見つめた。  それから二人は、スキー靴に履き替え、板を担いで、スキー場に歩いて行った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加