雪を呪う。

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今日も灰色の空から、白い綿雪が降り注ぐ。 私は、この雪が憎くて仕方がない。 だって、雪はーーー大切なあの人を、私から奪っていったからーーー。 その日は、地面が白一色になるほど雪が積もった日だった。 心配する私をよそに、恋人である彼は車で職場へと向かった。 そしてーーー生きて帰って来ることはなかった。 スノータイヤに交換していない軽四の車が、彼を轢き殺したのだ。 その日から、私は雪が嫌いになった。 彼は、生まれ育ちが温暖なところで、雪を見ると嬉しそうにしていた。 ごめんね……。君が愛した雪を、私は呪うよ。
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