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何回考えても、やっぱりこんなのおかしいとしか思えない。昨夜だけの相手のはずなのに、まるで恋人同士の朝のようになっている。
「あの、由利さん……」
「高臣だよ。ちゃんと言い直して」
「た、高臣……さん。なんでこんなことになっているのかわからないので、説明していただけると助かるんだけど」
高臣の名前を呼んだだけでも恥ずかしかったが、今の状況が全く理解できていない杏奈にとって、この状況に対する説明が必要だった。
すると高臣は突然吹き出し、大きな声で笑い始めた。彼のその姿に、杏奈は血の気が引いたように俯く。急いで風呂から出ようとしたが、高臣の腕はそれを許してはくれなかった。
「やっぱりからかわれていたんだ……」
「あぁ、ごめん。違うんだ。高校の時から変わっていないから嬉しくなって。杏奈はわからないことがあると、すぐに先生のところに行って説明してくれって頼んでいただろ？ なんだか懐かしくなってさ」
確かにそうだった。金銭的な理由で予備校に行けない分、学校で全てを聞くつもりで勉強に励んでいた。でもなるべく職員室で聞くようにしていたのだが、まさか彼に見られていたとは思わなかった。
「で、昨夜の出来事への説明をすればいいのかな？」
「……お願い」
「そうだな……久しぶりに会った杏奈が想像以上にキレイになっていたから、改めて自分の気持ちを確認出来た。そうしたら杏奈が可愛いことを言うから、我慢出来ずに押し倒してしまった」
「……ということは、やはり性的衝動による一夜限りの関係ということで合ってるの？」
それならばやはり納得がいく。だって相手は由利高臣。YRグループの専務で－－高校時代は目も合わなかった人なんだから。
高臣はクスクス笑うと、徐に口を開いた。
「それは違うな。性的衝動ではあるが、一夜限りではないよ」
「それじゃあ何なの？」
「そうだな……そろそろ答え合わせと行こうか」
不敵な笑みを浮かべた高臣に対して、杏奈は緊張のあまりゴクリと唾を飲んだ。
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