3 答え合わせ

5/8

4044人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
「杏奈は気付いないと思うけど、高校時代ずっと君を見ていたんだよ」  高臣が言うと、杏奈は突然怪訝な顔になり、目を細めて彼を見た。 「嘘つかないで。私はあなたと話したことも、目が合ったことすらないんだから。ちゃんと話し合えないのならもう帰る」 「……全く信用されていないね」 「そんなの、今までの行いを見ればわかるでしょ」 「手厳しいな。まぁ否定はしないよ。確かにその通りだからね」 「あなたは吉村の行動を止めただけ。私を助けてくれたわけじゃないわ」 「そこまではっきり言われると、逆にゾクゾクするよ」  楽しそうに笑う高臣を見ながら、杏奈は呆れたようにため息をついた。 「それならもっと長く湯船に浸かるべきね。私は先に出るけど」 「いや……湯船じゃ足りないな」  その瞬間、高臣は杏奈の腰を掴んで浮かせると、彼女の中を貫いた。 「いきなり……⁈ んっ……」  湯船の中でバランスを崩した杏奈は、更に奥深くまで高臣を感じて、彼の大きな胸板に倒れ込む。 「ここが一番温かいんだ……もっと杏奈の熱で俺を包み込んでほしい……」  激しく突き上げられながら、胸の頂は高臣の胸板で(こす)れ、重ねられた唇の隙間から彼の舌が杏奈を求めて絡み合う。 「ずっと好きだったんだ……今も君が欲しくてどうにかなりそうだよ」 「あっ……んっ……待って……!」 「愛してる……杏奈が納得するまで何度でも言うよ……だから俺を信じてほしい……愛してる……愛してる……」 「わ、わかったから! もうダメ……!」  杏奈は絶頂を迎えると、高臣にしがみついた。呼吸が大きく乱れ、ぐったりとしたまま動けなくなる。  記憶の中の由利高臣と違い過ぎて、もはや別人としか思えない。それともやはり本性を隠して私を騙してるのだろうか。  こんなのって話し合いとは言わないわ--私が否定出来ないくらい気持ちよくして、強制的に言わせただけじゃない。でもあんなに愛してるを連発されたら……少しだけ信じてみたくなる自分もいるから怖くなる。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4044人が本棚に入れています
本棚に追加