1日目-2.憧れのカレのパートナー

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 この動物園には何度か来たことあるけど、こんな場所なかったような。  いったいこんなかわいい家がなんで動物園の中に?  ふしぎに思って首をぐるりと回して、びくっと、頭の上にある耳が左右に開いたのがわかる。  生活スペースの前はうってかわった雰囲気だった。  カメラや機材がたくさんある。  そこに例の同じデザインの服を着た人たちが行きかっていて。  その中の一人の人の背中の文字を、追ってみた。  ん? 『エクレールがやってくれーる』……?  ききなれたフレーズ。  もしかして、これって――。 「うきゅっ」  変な声出しちゃった。  いきなり抱え上げられて、まじまじとのぞきこまれたから。  どうしよう。  見つかっちゃった……!  私の脇を抱えて持ち上げているのは、パーカーのフードを目深にかぶった男の子。  明らかにわたしより年上だ。高校生くらいかな。  パーカーからちょっとだけ除く目が優しい。  真剣な目でのぞきこむと一言、彼は言った。 「すげー、美人」  一瞬思考が停止する。  ちょっとだけ高めの、きれいなアルト。  この……声。
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