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「監督、この子どうですか! 新コーナー一発目のオレのパートナー!」
へ? 新コーナー?
パートナーって?
男の子はわたしを片手で軽々抱え、もう片方の手でわしゃわしゃ頭を撫でながら、厳しそうな目つきの帽子をかぶったおじさんに向かい合っている。
「子うさぎか。悪くないな」
おじさんが、言った。
「有輝が気にいったなら、やってみるか」
有輝。
その名前に、心がとくんと反応する。
やっぱり。
「よっしゃ」
彼がパーカーのフードを取って、現れたのは、見慣れたウルフスタイル。
ステージの上よりラフな感じだけど。
間違いなく――。
よく知っている整った顔がにこりと笑った。
「雪うさぎちゃん。きみを今日から、栄えある『エクレール』の冠番組の、美谷島有輝の新コーナーのパートナーに任命する! 喜ぶように!!」
おどけて宣言すると、周りの人達から拍手が起きる。
……やっぱり。
状況から見るに、これは人気高校生アイドルグループ『エクレール』が、ファンからのリクエストに応えていろいろなことにチャレンジする番組『エクレールがやってくれーる』のスタジオで。わたしが有輝くんのコーナーのパートナー……?
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