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カメラをかかえている男の人がぐっとわたしに向けて画面をズームしたのがわかる。
うう。緊張する。
人生初のテレビ出演がうさぎとしてなんて、なんか複雑だよ。
そんなことを思っていると。
「うきゅ!?」
いきなり両脇を持ってぐっと持ち上げられる。
有輝くんの高い鼻筋がすぐ近くに――。
「すげー、かわいい」
耳元で、囁くようなアルト。
「こんな子と一緒に6日間も過ごせるなんて、さすが神に愛された男だなオレ」
神に愛された男っていうのは、美谷島くんがよくバラエティー番組で多様してるキャッチフレーズ。
いつも、オレは最強幸運だからだいじょうぶっていいながら、危険なことにもチャレンジして、そのくせ毎回けっこうひさんな目にあってるところがおかしくて、笑いを誘うんだ。
「美人でしょ? 視聴者のみなさん、見てください。ほらカメラさん、ここでアップ」
どきっ。有輝くん、なに言って――。
そんなこと言われたらどう返していいか……。
もじもじと両手(いや、前足?)をこすりあわせていると、くすくすと笑う声がする。
ゆ、有輝くんの息が、耳にかかるっ。
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