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ふいと顔をあげると、有輝くんは屈託なく笑っていて、たぶん本気で自分を天才と思っていそうだけど。
あらためて、テレビの小さな確認用画面にうつっている小さなうさぎを見る。
スタッフさんには微妙って言われちゃったけど。
ゆっきゅんって、有輝くんがつけてくれた名前を胸の中で呟くと、自分の名前とはまた違った甘くて溶けちゃいそうな愛着がわいてくる。
なんて、なんか恥ずかしい~。
くしゃくしゃと、胸のあたりをかきむしっていると、甘い蜂蜜のような中低音が耳元で囁いてくる。
「じゃ、ゆっきゅん。少しオレと遊ぼうか」
遊ぼうか。
そう言われただけでもなんだか、危険な響きにきこえてきちゃう。
なんなんだろう。
身体がかたくなる。
「……なんでかたまってんだ? ゆっきゅん」
そんなこと言われたって。
カメラ向けられただけで緊張だよ~。
「すきありっ!」
「きゅっ」
有輝くんに両脇を持たれたっ!
そのままこちょこちょっと手を動かす。
「うきゅきゅっ」
く、くすぐったい~。
「お、いい表情」
素早く有輝くんがカメラさんに目配せして、
「じゃ、触れあいシーンいきまーす、3、2、1」
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