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「気にすることないんだぜ。オレもテレビでたてのころはそうだった」
……有輝くんも?
ほんとかな?
ぴくりと顔を彼のほうに向けたとき、一瞬見せた真剣な表情は消え失せていた。美谷島くんはもう、いたずらを思いついたようなやんちゃな顔になっていて、
「ようし。お近づきのしるしに、とっておきの秘密を明かしてしんぜよう」
え? なになに?
秘密?
彼の口からその言葉をきくだけで、なんだかどきどきする……。
わっ。
美谷島くんの真剣な顔が、近づいてくる。
息がかかるくらい、近い。
近いよ! 美谷島くん。
「……オレさ、テレビじゃ神に愛された男とか言ってるけど」
こくん、と、自分がつばを呑む音がきこえる。
「じつは超絶不幸体質なんだ」
……。
あの。
それ、テレビ見てる人はだいたい知ってるよ?
だって、バラエティーの中の美谷島くんは、『エクレール』のメンバーからのドッキリにだまされて落とし穴にはまったり、ゲームで負けて罰ゲームでゲテモノ食べさせられたり、そんなことしょっちゅうだもん。
隠せずに表に出てしまったあきれ顔をまた、ちょこんとつつかれる。
「なんだよその顔。バカにしてるな。ゆっきゅん」
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