1日目-4.きみは天使

1/6
前へ
/152ページ
次へ

1日目-4.きみは天使

 気がついたら、わたしは原っぱの真ん中で身体をくの字にして横になっていた。  お日様がぽかぽか、空の真上で照っている。  立ち上がってうーんと伸びをすると、青いジャンパースカートに、草がたくさんくっついてるのに気づく。  なんだかふしぎな夢を見た気がする。  うさぎになって、憧れの美谷島有輝くんに声をかけられて、なでなでされて。  ため息と微笑のまんなかくらいの息が口から漏れた。  へんな夢。でも、幸せな夢だったな。  立ち上がって、帰らなくちゃと周りを見渡したとき、ようやく違和感は襲ってきた。  ここ、夢の中と同じ、リリコイ動物園の原っぱ。  数メートル先にはちゃんとあのラブリーな家もある。  これって……?  首をかしげていると、そのラブリーな家から、誰かが出てきて。  遠目にもそれが誰かすぐに認識できた。 「わぁぁっ」  認識すると同時に、頭がパニックになる。  ウルフスタイルの髪に、くっきりした顔立ち。あれって、有輝くん。  だとしたらここはまだ夢の中?  でも夢からは今醒めたばかりで。  あれぇぇぇ。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加