1日目-4.きみは天使

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 原っぱまで来てぴたりと立ち止まった美谷島くんは、切羽詰まった表情をわたしに向けた。 「きみ、白い雪うさぎ見なかった?」 「……あ。えっと。その」  混乱する頭で、答えを急ぐ。 「雪うさぎは、わたしだから」  出た答えは、解読不能なもので。 「え?」  有輝くんは目を大きく見開いている。  うっ。まずい。 「雪うさぎは、わ、わたしのだから。持って帰ったの!」  あわてて頭をフル回転させて、渾身の言い訳をでっちあげる。 「うち、この近くで動物保護施設をやっていてね。うちの雪うさぎがこの動物園に迷い込んじゃったの。だから、わたしが追いかけにきたの」  とっさに口をついて出た半分の嘘。 「……そうだったんだ。ゆっきゅんは動物園の子じゃなかったんだ」  でも人のいい有輝くんは信じてくれたみたい。  後ろを向いてひそかにほっと胸をなでおろしていると、ぱちんと勢いよく手のひらを合わせる音が響いた。  ふりむくと、有輝くんが両手をあわせてかがみこんでる! 「お願いがあるんだ。あのうさぎを6日間だけ貸してくれないかな?」  上げた顔は、今までで一番、真剣な表情。
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