10人が本棚に入れています
本棚に追加
「責任もって管理する。必ず、返すから」
そ。そんな。
「だめかな?」
切なげな目でそんなふうに言われたら断れない。
それ以前に、憧れの有輝くんのお願いを断るのは、わたしにはすごくむずかしいよ。
彼がなにか頼んでくれてる。
それだけで心がとくとく鳴ってるのに。
でも。
どうしたらもう一度ゆっきゅんになれるのか。
そんなことができるのかすら、わからないし……。
考えに考えて、出した答えは、
「……おかあさんにきいてみないと」
ひとまず、返事を先送りすることだった。
「だよな」
無理にも微笑んでくれる有輝くんに、なにか言葉をかけたくて。
心の中を必死に探し回って。
ありがとう、と言って去りかけた彼に、呼びかける。
「でもその」
有輝くんが、ふしぎそうに振り向いた。
「がんばって、たのんでみる」
大きな目が、さらに大きく見開かれる。
「さっき、ちょっとだけ見てたの。……ゆっきゅんも、美谷島くんといて、楽しそうだったから。大事にしてもらえて、うれしそうだったから……」
最初のコメントを投稿しよう!