1日目-4.きみは天使

3/6
前へ
/152ページ
次へ
「責任もって管理する。必ず、返すから」  そ。そんな。 「だめかな?」  切なげな目でそんなふうに言われたら断れない。  それ以前に、憧れの有輝くんのお願いを断るのは、わたしにはすごくむずかしいよ。  彼がなにか頼んでくれてる。  それだけで心がとくとく鳴ってるのに。  でも。  どうしたらもう一度ゆっきゅんになれるのか。  そんなことができるのかすら、わからないし……。  考えに考えて、出した答えは、 「……おかあさんにきいてみないと」  ひとまず、返事を先送りすることだった。 「だよな」  無理にも微笑んでくれる有輝くんに、なにか言葉をかけたくて。  心の中を必死に探し回って。  ありがとう、と言って去りかけた彼に、呼びかける。 「でもその」  有輝くんが、ふしぎそうに振り向いた。 「がんばって、たのんでみる」  大きな目が、さらに大きく見開かれる。 「さっき、ちょっとだけ見てたの。……ゆっきゅんも、美谷島くんといて、楽しそうだったから。大事にしてもらえて、うれしそうだったから……」
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加