6秒に頼み願う

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6秒に頼み願う

あ、岩崎だー、 同じ部署の先輩がサボった仕事の皺寄せで月曜からの業務に支障が出るって早々に気づいて今日中に片付けようってパソコン睨んでた土曜の昼過ぎ。 誰もいないはずのフロア。 俺の名前が聞こえて顔を上げると入口にひょこっと、こっちを覗く人。 「休日出勤?めずらしー」 「あ、お疲れさまです。え、先輩も?」 「そー、クレーム対応。やっとひと段落したから食いもん買ってきた」 先輩には勝手知ったる部屋。 去年までいたこの部屋に、ビニール袋ぶら下げてなんとか棒をかじりながらズカズカと入り込んできた。 当たり前に隣の席にドカッと座ってガサガサと袋の中に手を突っ込んでる。 先輩が近づいたせいで動きのなかった空気がゆらりと流れる。 今日はクソ寒いのに。 ジャケットも着ないでシャツ一枚で外に出てたとか信じらんねぇ。 しかも腕まくりまでして、俺と同じ格好で外出てたとかさ… その姿見ただけで、もう寒い。 俺しかいない部屋は遠慮なく暖房効かせてちょっと暑い。 ネクタイ緩めてだらしなくしてたから、ふわっと冷たい空気が首筋に当たってなんだか急にそわそわした気持ちになる。
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