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「殺られたい」 私の言葉を聞いた人の口角が、ほんの一瞬、僅かに上がった。 すぐに、目の前にいる人は左手を上げる。 それが合図になったように、パン!パン!パン!パン!と音が鳴り出した。 一ヶ所じゃなくて、あちらこちらから聞こえて来る。 その音は、まるで銃撃戦をしている様な音。 何が起こっているのかさえ理解出来ない。 そう思う私は一瞬の隙をつかれた。 首にトンと手刀をされた私は、暗闇に飲み込まれる前に呟く。 『烏』と……
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